AIを使えば英語学習は楽になる?

AI時代こそ知っておくべき英語学習の進め方
武智さやか 2026.07.31
誰でも

あと2週間で1年ぶりの日本帰省も終わりを迎えます。


帰国してから京都・大阪・東京・名古屋など全国を転々としていて、明後日からは松山、岡山、そして九州方面にもいく予定があり、そしてその翌週にはアメリカへ帰ります。

この移動し続ける毎日を過ごしていると、ふとした瞬間に自分が今どこにいるか分からなくなります。笑

ちなみに英語ではこんな時、

I've been bouncing around lately.

という表現を使います。

bounce around は、
「あちこち飛び回る」「移動が続く」という意味です。

まさに今の私のような状態ですね。

ただ、こうやって色々な場所に移動してもお仕事ができるのはインターネットがあること、そして最近はAIのおかげでもあります。

ちなみに先日品川で報道・映像翻訳者であり俳優、演技指導者としても活躍されている白石哲也さんの講演会を開催したのですが

その時にも

「AI時代に英語の先生や翻訳者の仕事はどうなるのか?」
「AIをどう英語学習に活用していけばいいのか?」

というご質問を多数いただきました。

あなたはAIが進化することで英語学習の進め方や英語の仕事は変化している、また今後もっと変化していくと思いますか?

今回の記事では、

AIの進化で英語学習は不要になるのか?英語学習のやり方は変えるべきなのか?

をテーマに書いていきます。

***

報道翻訳者 白石哲也さんの講演会の様子

報道翻訳者 白石哲也さんの講演会の様子


先に結論をお伝えすると、私は、AIが進化しても英語学習の進め方の根本も、そして必要性も変わらないと思っています。

理由は2つあります。

1つは、AIは言語化をスムーズにしてくれるためのサポートでしかないから。


英語学習に使えるアプリ、AIなど最近は便利なものが山ほどありますよね。もちろん私も活用しているものはたくさんあります。


でも、便利になることと自分の英語スキルが上がることは全く別物。

AIを使うことですぐに正解は手に入るけど、英語を使えるようになったわけではない。

むしろ、人間の学習機能はAIを使う前と変わらないので、AIで英文を使い始めてから自分で英文を作れなくなっているというご相談が増えています。

英語は言語であり、コミュニケーションの手段。

言葉は自分で言語を紡いで作っていくものだし、自分で使って磨いていくもの。

AIは言葉にする部分をスムーズに進めるためにサポートしてくれる存在ではあるけど
最後まで代理でやってくれるわけではない。

そして、言葉ってバーバルの部分だけではなくノンバーバルの部分、つまり表情とか動作で伝える部分も大きい。

それに関してはAIから教わることはできない。実際の場面で誰かが話しているのを聞いたり誰かに教えてもらうことで理解していく部分。

このように、言語習得という分野においてAIがサポートしてくれる部分って限られているのです。

さて、AIが進化しても英語学習の進め方の根本も、必要性も変わらないと思う2つ目の理由。それは

AIは英語学習の強制力にはならないから。

英語はコミュニケーションの手段なので毎日使うことでしか伸ばしていけない。

AIでいくら英語学習が便利に気軽にどこでもできるようになっても、それを実際に毎日継続して取り組まないと意味がない。

つまり、

AI doesn't hold you accountable like a real teacher.

AIは先生のように、学習を続けるための強制力にはなってくれません。

(この hold someone accountable

「責任を持たせる」
「最後までやり切れるように関わる」という意味です。)

AIなどの進化でどこでも便利に英語学習ができるようになった。

でも本当にいつでもどこでも毎日学習を続けている人が実際にどのくらい増えたのか?

いつでもできるからこそ後回しにする。結局そのアプリやAIを開かなくなると英語学習も止まる。それって英語を学ぶというよりもアプリやAIを使いこなすことが目的になってしまってるということもあるのかもしれません。

ただAIはとても便利なもの。忙しい方にとっては、使い方次第で心強い味方になってくれます。

では、このAI時代。どのようにAIをどううまく使いこなしながら英語学習を進めていけばいいのか?

私がお勧めするのはこの3つのステップを踏んで行くことです。

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1つ目はあなたにとってどのような学習が必要かを知ること。

何かを学ぶ時最初にやるべきは「どこで躓いているのか、今の課題を知ること」

今うまくいっていないこと、課題に感じていることが何か分からないまま新しいことを学び取り入れても、また行き詰まります。「まずは現状把握から」が鉄則です。

この段階でAIを活用するなら、あなたの英語力について、レベルや伸び悩んでいる原因など現状分析に役立てるのがお勧めです。

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2つ目のステップは正しい学習の進め方を知ること。

英語習得には正しいステップがあります。

また、それぞれの英語学習の目標によってステップも変わってきます。その順番を間違えると驚くほど英語力は伸びていきません。英語学習って「何に取り組むのか」よりも「どう取り組むのか」「なぜこれに取り組むのか」の方が重要なのです。

AIは私たち自身が自分の目標に沿った正しい学び方、進め方を理解している上で使うからこそ便利なツールになります。便利だから、流行っているから、という理由で使うのはAIに振り回されているだけ。

どのAIを自分の学習のどのタイミングでどう役立てるのか、が重要だからです。

***

そして最後、3つ目のステップは学習を自走できる状況を作ること。

英語学習は続けてこそ意味があります。この部分をAIに頼るには限界がある。

AIは質問に答えてくれます。

でも、「続けられるかどうか」までは面倒を見てくれない。

例えば、

「今週ここまでやるって言いましたよね。」
「宿題どうでした?」
「ここはできていますよ。」

そんな風に、伴走してくれる存在はやはり人間だけだと思うのです。

これには、人間の「感情」が関係しています。

私は一番の強制力って、「誰かとの約束」だと思うのです。というのも、人が行動する時は「感情」が動いた時だからです。


理想なのは自分自身との約束。自分との約束を守ることができれば、自分が決めたことを行動し、目標や夢を達成しやすい。まさに自分で自走できる理想の状態を手に入れることができます。

ただ、自分との約束って守れそうで後回しにしがち。そこでより強制力があるのは、「誰かとの約束」です。

特に、教えてくれている先生との約束は強制力になります。実際に私の英語スクールでこれまで学んでくださった生徒さんたちからも

「朝起きるとさやか先生の顔が浮かんで、今日も英語やらなきゃ!と思うんです」

「今日はもういいか、と思った時も、先生に報告しなきゃと思うとあと10分頑張ろうと思えるんです」

という声をよくいただきます。

サポートし、応援してくれる人がいることは、英語習得に大きく影響します。
誰かに英語を学ぶことの醍醐味の一つがこの「強制力」だと思うのです。


1、自分の現状を知り、
2、自分に今必要な学習のステップを知り、
3、そして自分で自走できる環境を整える

そこで初めてAIが使えそうな部分を助けてもらうというステップです。



こんなアプリや便利な機能があるから使ってみよう!からスタートすべきではないのです。

最後に。

私が今、ゼロから英語を学ぶなら、絶対にしないことは

「AI相手に独学で始めること」

必ず誰か、専門の先生に教えてもらうことをするでしょう。

なぜか?

英語学習の設計、進め方が何よりも重要であること、
そしてプロの視点から、私の状況にあったフィードバックをいただくことで
伸びが大きく変わること、またコミュニケーションの部分はその場面を経験した人間からしか学べないということを痛感しているからです。

AIは、自分が何を目指し、どんな順番で学ぶのかという設計があるからこそ、役立つ答えを返してくれます。

ちなみに、英作文などのフィードバックならAIでもいいんじゃない?
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、AIで英文のミスは修正してくれます。
ただし、そこに落とし穴があります。それは

「AIは全てを修正し、完璧な文章を作ってしまうということ」

AIは、改善点を全部教えてくれます。

でも、例えば初心者の方に一度に20個も30個も修正を出したらどうでしょう。

何から直せばいいのか分からなくなり、ハードルが高くなり、やる気を失ってしまったという声を実際にたくさん耳にします。

一方で、先生は「修正しすぎない」ことができます。

ある初心者向けの英会話の先生が、おっしゃっていました。

「その方のレベルに合わせて、「今日はこの一つだけ。」
「まずはここをできるようにしましょう。」と優先順位を考えて添削できることが人が添削をする価値だ。」

その人に合わせて、あえて一度に全部は伝えない。それも指導力なんですよね。

こういう細かい部分って人間だからこそ、直接関わっているからこそ受けられる指導なのです。

英語学習や英語仕事においてAIは素晴らしいツールになる。

いつでも「答え」をくれるAIは頼れる存在です。でも、「答え」をもらうことだけでは英語力は伸びません。むしろ「依存」を引き起こします。一方で先生は指導次第で「成長」を促す存在になってもらえます。

そして、AIがどれだけ進化し効率よく学べるようになり学べる時間が増えたとしても、同時に失っているものもあるのかもしれない、と常に感じています。

例えば効率よくAIに教えてもらった単語よりも、自分で辞書で時間をかけて調べた単語の方が結局記憶に残っているのかもしれない。

AIと会話の練習をして学んだフレーズよりも、海外に行って現地で聞いたフレーズの方がより記憶に残り実際の場面で使えるようになるかもしれない。

便利なツールやAIを目にするたびに、いつも私は祖父のことを思い出します。

60年以上も前にNHKラジオ講座のテキスト1冊から英語学習をスタート。
そしてその後海外出張に行くなど英語を使って仕事をするまでになった祖父は当然
AIなどの便利なツールは使っていませんでした。

NHK出版さんがまとめてくださった私と祖父の英語学習のエピソード

たくさんの教材や便利なAIがなくても英語は習得できる。

便利だから、流行っているからという理由でAIや教材を選ぶのではなく、自分が信頼し、使いこなしたいと思うテキストを1冊選んで徹底的に使いこなす方が結局効率良く学べる。

時代は変わっても学び方の本質は変わらない。
AIは英語学習を便利にしてくれる1つの手段でしかない。
それを忘れずにうまく使っていくことが必要ですね。

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